騒音性難聴(神戸地判昭和62年7月31日)

造船所の元従業員らが罹患した難聴について、使用者に損害賠償請求をした事案。

 「難聴患者が騒音性難聴であるか否かの判定は、被曝騒音のレべル、被曝期間、オージオグラム上の聴力像、他原因の存在等の諸事情を総合考慮して行なうべき事柄である。」としつつ、「被曝騒音のレベルが許容基準を大きく上回つている場合には、それだけ強く騒音性難聴であることが推定される関係にあり」として因果関係を判断し、「要求される水準(問題となる時点における技術上可能な最善の対策を行うこと)」の対策を十分にとっていなかったとして、安全配慮義務違反を認定しました。

 損害額については、各原告それぞれに聴力喪失の程度、年齢による聴力の衰えによる減額などを認定判示し、最も高額な原告で慰謝料250万円と弁護士費用25万円を認容しました。