心疾患による死亡(大阪高判平成19年1月18日)

急性心筋梗塞で死亡した従業員(名目上は取締役とされていたが、労働者性肯定)について、健康状態にかんがみ,勤務時間を適切に管理し,業務負担を軽減して,同人の生命,健康被害の危険を防止する安全配慮義務があったのに,これに違背(放置)したとして,会社に損害賠償責任が認められた事例です。

タイムカード等による労働時間管理は行われていなかったものの、普段でも法定労働時間を超過して勤務し、死亡の6か月前に部下従業員6名のうち半数、その前月には残り3名のうち1名が退社して過密な長時間労働を余儀なくされていたこと等から、死亡と業務との因果関係を認め、会社の側にも労働者の健康に配慮する義務の違反があったとしました。

 

損害額

逸失利益 1999万7452円 
年収576万円、67歳まで7年(576万円×5.7863×(100%-40%))
慰謝料  2500万円
葬儀費用 120万円
寄与度減額 3割(本人の高血圧が死亡に寄与と認定)

損益相殺

・労災保険給付 1359万8533円(妻が受領)
・弔慰金     144万円
・退職金・死亡退職金 856万円(当時会社に死亡退職金の制度が無かったため)

損害合計から寄与度3割を減じた3233万8216円から弔慰金、退職金を控除した2233万8216円を妻及び子2人で分割、妻は労災保険受領額が損害を上回るとし、子2名について各558万4554円の支払いを命じました。