脳・心臓疾患について(過労死)

脳・心臓疾患の労災認定可能性

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 脳や心臓疾患は、仕事とは無関係に、加齢により、あるいは生活状況等により発症することがよくあります。

 しかし、仕事が加重であることにより生ずるケースもあります(いわゆる過労死)。

 平成13年12月、厚生労働省は、「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」という通達を都道府県労働局に対して、発信しました。

 これにより、脳や心臓疾患が労働災害に認められる場合について従前よりも広がりました。

1 労災の対象となる脳・心臓疾患の病名

①脳血管疾患
・脳内出血
・くも膜下出血
・脳梗塞
・高血圧性脳症

(脳卒中は、脳血管疾患の総称として用いられる言葉なので、より正確な病名を確認する必要があります。)

 

②虚血性心疾患等
・心筋梗塞
・狭心症
・心停止
・解離性大動脈瘤

(急性心不全は、正式な病名ではありません。より具体的にどのような病名であったかを確認する必要があります。)

2 脳・心臓疾患が労災として認められるための要件

脳や心臓疾患は、言うまでもなく、加齢により発症したり、日常生活が原因で徐々に発症することもよく見られます。

したがって、労災として認められるためには、次の3つのうちのどれかに当てはまる必要があります。

 

①異常な出来事に遭遇したこと

 ・異常な出来事とは、「極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす突発的または予測困難な以上の状態」、

  「緊急に強度の身体的負荷を強いられる突発的又は予測困難な異常な事態」、「急激で著しい作業環境の変化」を言います。

 ・発症から前日までに異常な出来事があったかにより判断されます。

 ・内容としては、わかりにくい内容ですが、簡単に言うと、日常の業務ではほとんどないような事故や災害にあったり、気温の上下が極端に変化するような

  環境で作業をした等の事情がある場合に認められる要件となります。

 

②短期間の過重業務があったこと 

 ・短期間とは、発症の1週間前程度

 ・過重業務とは、同僚等と比較して、特に過重な精神的・身体的負担が認められるかどうかにより判断されます。

  休日の確保、労働時間の長さ、拘束時間の長さ、労働密度、業務内容、休憩等の時間、出張の有無、交代制、深夜勤務の有無、

  特に著しい精神的緊張を伴うものかどうか、等により総合的に判断されます。

 

③長期間の過重業務があったこと

 ・長期間(おおむね発症前の6ヶ月)にわたり、過重な負荷が精神的・身体的にかかっていたという場合

 ・業務量、内容、作業環境等を考慮する

 ・より具体的には、時間外労働の時間も大きな指標となる。

  発症前1ヶ月間に100時間を超える時間外労働をしたか。

  発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたり、80時間を超える時間外労働をしたか

  発症前1ヶ月ないし6ヶ月間の時間外労働が45時間を超えない場合は、発症と業務の関連性は弱いものと評価される。

  (*この数値はあくまでも、一つの指標にすぎません。時間の要件のみを満たすかどうかではなく、様々な判断要素の一つです)